第5章 モデルさんと海常高校
携帯をいじる真実をしばらく観察していると
急に顔を上げて言った。
「……あ!男バスの監督……リコさんだっけ?
超仲良くなっちゃった♪」
「リコ先輩と……?」
首をかしげる私を見てニヤニヤしている真実。
なんでリコ先輩のこと………………。
……………………!
そこで、メロンパン写真のことを思い出して、身を乗り出した。
「そうだ!!私の写真、勝手に撮ってたでしょ!!
それを黄瀬くんにもリコ先輩にも見せちゃって……!」
「僕も見ました」
「はぁぁ!?」
突然会話に入ってきた黒子くんの言葉に
またしても火神が反応する。
それ、私のセリフだから。
「私と黒子くん仲良しだから」
「はい。仲良しです」
文句を言ってやろうと口を開きかけた私の前で
ハイタッチをした真実と黒子くん。
「え、いつの間に!? 」
「内緒です。昨日、監督に森本さんのアドレスを聞かれて僕が知っていたとき、気づかなかったんですか?」
「言われてみれば……」
嘘でしょ……。なんで気づかなかったの私……。
つまり今、黒子くんと真実とリコ先輩が繋がってるってこと?
いやいやいや、怖すぎるよ。危ないよ。
「もとはと言えば真実が盗撮なんてするから……っ!」
「奏が写真撮ってくれないのが悪いですー」
「う……」
返す言葉もございません。
もうやだ。全部黄瀬くんのせいだ。
がっくりと項垂れる私を見て
真実と黒子くんがニヤニヤしていたことと、
火神が不機嫌そうに眉を寄せていたことを私は知らない。