第5章 モデルさんと海常高校
ー 翌日 ー
「あ、新沢さん、これどうぞ」
そう言って右隣の黒子くんから差し出されたのは
ルーズリーフの切れ端。
よく見るとメールアドレスが書かれている。
「私、黒子くんとはメアド交換してるよ?」
「いえ、黄瀬くんのです」
「はぁっ!?」
眉間にしわを寄せて、振り返った火神。
いや、今のは私が驚くところでしょ!
なんで火神が食いつくの?
黒子くんの手からアドレスの書かれた紙を奪おうと必死になっている火神はひとまず置いておいて、理由を聞こうと黒子くんのほうを見る。
「昨日の写真を送りたいから、連絡が欲しいそうです」
「え?黒子くんが私のアドレス知ってるんだし
教えちゃってよかったのに」
首を傾げながら紙を受け取った。
「黄瀬くんに教えるのは癪なので」
「そ、そっか………」
真顔で言ったのを苦笑いでスルーする。
黄瀬くんと黒子くん仲いいのかよくわかんない………。
「おいっ!黄瀬にメールすんのかよっ!!」
「え……うん、一応するつもりだけど……?」
「はぁ!?なんでだよ!!」
火神がなんでこんなにキレているのか分からない。
「……あ!火神も黄瀬くんの連絡先知りたいの?」
「…………は?」
「早く言ってくれればいいのにー。
先に電話帳に登録する?私は後でも……」
「ちっげぇよ!!俺はお前のアドレスが…………あっ!!」
私の言葉を遮るように言ってから
やってしまったというように私から顔を背けた火神。
私のアドレス……?
「え?私のアドレスは……知ってるでしょ?」
「知らねぇよ!!」
バンっと机を叩く火神を横目に見ながら考える。
あれ?だって黒子くんは私の連絡先知ってて、
黒子くんと交換したときに火神にも伝えといてって……。
「……黒子くんから聞いてないの?」
「は?」
私の言葉に固まった火神。
「てっきり黒子くんから聞いてるものだとばかり……」
私が小さく呟くと、
火神がすごい形相で黒子くんの頭を鷲掴みにしていた。
「おい、黒子てめぇ……!」
「だって聞かれませんでしたから」
「あ”ぁ”?」
黒子くんのしれっと言った言葉が
火神の怒りに油を……いや、ガソリンを注いだらしい。
……なかなか終わりそうにないので
二人を放置して机に突っ伏した。