第5章 モデルさんと海常高校
「んじゃまぁ、俺はこれで失礼するっス!
奏ちゃんまたね!」
なんだかほんわかしている空気をぶち壊すかのように
キラキラのモデルさんスマイルを残して
嵐のように去っていった黄瀬涼太くん。
さんざん騒いでいた彼が居なくなり
しんと静まり返る誠凛メンバー。
数秒たって、まず動いたのはリコ先輩だった。
「黒子くん……森本さんとやらのメアド知ってる?」
「知ってます」
「教えて。今すぐに」
静かに言って携帯を取り出したリコ先輩。
「はい!?」
「「「えぇっ!?」」」
「ちょ、監督!?」
ざわつく黒子くんとリコ先輩以外のメンバー。
「監督なにする気……?」
「奏ちゃんのメロンパン食べてる写真を
送ってもらうに決まってるでしょ?」
訝しげに尋ねた伊月先輩に、
携帯を操作する手を止めずに答えたリコ先輩。
『いやいやちょっと!!やめてくださいよ!!』
「や・だ♡」
リコ先輩は笑顔でウインクまでくれた。
…………無理無理!!真実とリコ先輩がタッグを組んだら
絶対ろくなことにならないって!!
必死に阻止しようとしたけれど、
あの笑顔のリコ先輩にかなうはずもなく、
私のメロンパンを食べている間抜けヅラは
あっさりとリコ先輩の手へと渡ったのでした。