第5章 モデルさんと海常高校
「……ほかの四人と比べると経験値の浅さはあるが、
急成長を続けるオールラウンダー」
降旗くんが聞き覚えのあるフレーズを読んでいるのが聞こえる。
たしか……この前 月バスでキセキの世代の特集見たときに黄瀬涼太くんのページに書いてあったんだっけ?
そういえば黒子くんだけ特集組まれてなかったな……。
幻のシックスマンなのに、なんでだろ?
「中2から!?」
考えていると、日向先輩の声で現実に戻された。
「いや、あのー……大げさなんスよー、ほんと。キセキの世代なんて呼ばれるのは嬉しいけど、その中で俺は一番下っ端ってだけですわ。だから、黒子っちと俺はよくいびられたよな」
へらりと笑って頭をかく黄瀬涼太くん。
「僕は別になかったです」
「あれ!?俺だけぇ!?」
黒子くんの切り返しに再び泣き真似をする黄瀬涼太くん。
だめだ。黄瀬涼太くん、面白い人確定。
「ふふっ……ちょ、漫才みたい……っ」
入り口から顔を引っ込め、必死で声をこらえながら笑う。
これ、明日 真実に報告しなきゃ。
確かに真実がウザがりそうなタイプかも……。
「あー、面白すぎ。…………ん……?」
ひとしきり笑って息を整えていると、
ボールのはずむ音が聞こえてきて、体育館の中を見た。
「え……」
体育館内では、黄瀬涼太くんと火神が1on1をしようとしている。
これ、絶対火神がしかけたでしょ……。
黄瀬涼太くんはキセキの世代らしいけど、
火神だってかなり強いから……どうなるんだろう。
はらはらしながら様子を見る。
黄瀬涼太くんがオフェンスで、
フェイントをかけて簡単に火神をぬいた。
火神も負けじと食らいつき、ボールを叩き込もうとする黄瀬涼太くんを止めようと跳ぶ。
「あっ………!?」
……が、ボールをかすめた指先はあっけなく弾かれた。
すごいパワーだ……。
しかもあの動き……この前残って練習してたときに
火神がやってたやつ…………!?
キレもパワーも火神以上……、すごすぎる……。