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平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第5章 モデルさんと海常高校


しばらく体育館の前でうろうろしていると、
徐々に女子たちがはけ始めた。

どの子も頬を赤く染め幸せそうな表情で、
大切そうに色紙を持っている人までいる。


サイン会……とか?

私立の新設高ともなればそれくらいのイベントが
あるものなのかなぁ……。


きゃっきゃと楽しそうに歩いていく女の子たちを見てから、体育館の方へ意識を移した。


あれ?ボールの音がしない……。

今は休憩なのかな……?


不思議に思って体育館を覗く。


「え……」


すぐに目についたのは、うちの制服じゃない黄色い頭。

たしかあの人は……


「キセキの世代の……黄瀬涼太……?」


小さく呟いて、目をこらす。

月バスでも、真実の雑誌でも見た、あの人だ。


このモデルさんがいたから女子が集まってたのか!
今日はうちでなにかイベントがあったのかな?


「なっ……なんでここに……?」


考えながら体育館に足を踏み入れようとすると、
静かな体育館に、日向先輩の声が響いた。

びっくりして、再び入り口脇に隠れる。

やばい。入るタイミング失ったかも……。


「いやー、次の相手誠凛って聞いて、黒子っちが入ったの思い出したんで、挨拶に来たんスよ。中学のとき1番仲良かったしね」


こそこそと覗いていると、黄瀬涼太くんが話しながら
誠凛メンバーに歩み寄っているのが見えた。


「普通でしたけど……」

「ひど……っ」


静かな黒子くんの声と、整った顔からは想像できない反応で泣き真似をする黄瀬涼太くんに、思わず吹き出しそうになって、慌てて口を両手でふさいだ。


「ふふっ……」


体育館の壁に寄りかかって肩を震わせる。

だって、モデルさんってもうちょっとかっこつけるのかと思ってたのに、あれは……。

やっぱり同じ中学だから、
あれくらい冗談を言い合える仲なのかな?

あ、でも、この前マジバで盗み聞き……じゃなくて、
たまたま聞いちゃったときいろいろ話してたから……。

やっぱり、お互いを嫌い合ってる訳ではないんだろうなぁ……。


考えているうちに笑いがおさまっていたので
もう一度体育館を覗く。
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