第5章 モデルさんと海常高校
ー 一方その頃 ー
奏side
たまたま今日が出席番号の日だからという理由だけで先生の荷物運びにかりだされ、さらにはどうでもいい先生の武勇伝を聞かされ、私のイライラは頂点に達していた。
もう部活がはじまっている時間だ。
今はミニゲームをしているだろうか?
考えながら階段をかけおり、
体育館に続く渡り廊下を全力で走る。
「え……」
……が、体育館を目前として、私の足は止まった。
あれ、今日、なにかあったっけ……?
乱れた息を整えながらゆっくりと体育館へ近づく。
入口には女子たちのつくる長蛇の列。
アイドルの握手会かとつっこみたくなるレベルだ。
「完全に入口が封鎖されてるじゃん……」
溜息と共につぶやきながら、どこからか入れないかと
辺りを見回すけれど、入れそうにない。
そもそも体育館内では今なにが起こっているんだ?
考えるけど思い当たることは何もない。
今日だって通常通り練習のはずだ。
このままでは部員に迷惑がかかってしまう。
なんとしてでも入らなくては……。
「すいませーん……ちょっと通していただけますかー…」
入口付近の女の子たちをかき分けるようにして進む。
「ちょっと!!割り込まないでよね!!」
「そうよ!私たちだってずっと待ってるんたから!」
「うわ……っ」
制服からして他校の女の子に押し戻されてしまった。
待ってるって、一体何を!?
私は部活をしに来てるんですけどーーっ!
心の中で叫びながら場所を変えて数回チャレンジしたが、本気の女の子には勝てなかった。おそるべし女子。