第5章 モデルさんと海常高校
「よーし、全員集合!」
相田の声で部員が集まる。
「もう知ってると思うけど、練習試合が組めましたー!」
満面の笑みの相田に反して、先ほどの部室での出来事があるため、神妙な面持ちでごくりとのどを鳴らす部員たち。
「相手はー…………海常高校ですっ!」
「海常高校と……練習試合!?」
即座に聞き返す日向。
どうか違う海常であってくれと願わずにはいられない。
「そ。相手にとって不足なし!1年生もガンガン使ってくよ!」
「不足どころか……すげぇ格上じゃねぇか……」
終始嬉しそうな相田に、小金井が頬を引きつらせる。
「そんなに強いんですか?」
「全国クラスの強豪校だよ。
インターハイとか毎年普通にでてる」
河原の質問に日向が答えると、1年生の顔色が変わった。
「そして海常は今年、キセキの世代の一人、
黄瀬涼太を獲得したとこよ」
「えっ!?」
「あの、キセキの世代が……!?」
降旗や福田が思わず声出して驚く。
河原も含め、完全にビビっているご様子。
そのとなりで考えるように眉を寄せる黒子と、
不敵な笑みを浮かべる火神。
「しかも……黄瀬ってモデルやってるらしいぞ」
「マジ!?すげぇ!」
神妙な面持ちで言った日向に、伊月が反応した。
「かっこよくてバスケうまいとかひどくねぇ?」
「アホ……」
小金井が言うと、相田は呆れたように肩を落とした。
そんな相田の耳に、女子特有の高い声が聞こえる。
不思議に思い視線をうつすと、普段ではありえない数の
ギャラリー。しかも全部女子。
「な……っ!……なに?なんでこんなにギャラリーできてんの?」
女子たちの長い列の先に見える、黄色い頭。
「あいつは……」
真っ先にそれを見つけた日向が小さく漏らした。
ステージの端で女子たちの輪の中心にいる、黄色い頭の人物。
…………………………キセキの世代、黄瀬涼太だ。
誠凛バスケ部の視線に気づいた黄瀬に、黒子が会釈する。
「お久しぶりです」
「久しぶり」
挨拶を交わした二人を交互に見る誠凛メンバー。
「すいません……。マジで……あの……えっとー……っていうか、5分待っててもらっていいっスか?」
いくらかの沈黙のあと、
困ったような表情で頭を掻きながら黄瀬が言った。