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平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第5章 モデルさんと海常高校


いつも通り部活がはじまる。
……が、珍しいことに奏の姿がない。

ミニゲームのチーム分けを伝えつつ、体育館内を見回す相田。


「……じゃあ、チーム分けはこれで決まりね。5分後に始めるから準備よろしく。……で、奏ちゃんがいないけど、誰か聞いた人いる?」


誰もなにも言い出さない。知っている人はいないようだ。

奏が部活を無断で休むような人間ではないことは相田がよく知っている。なんらかの理由があって遅れるのだろう。

小さく息を吐いてから指示を出す。


「じゃあ、ミニゲームの準備をはじめてー!」


「あの……」


突如聞こえた声に、相田が肩をはねさせた。

全員の視線は声がした方向、火神のとなりに集まる。


「新沢さんは先生に呼ばれて遅れるそうです」


声の発信源は黒子だった。
火神の隣で体育座りをしている。

相田は、1度口をパクパクさせて悲鳴を飲み込み、
冷や汗をかきながら言葉を紡いだ。


「わ、分かった…。ああ、ありがとう……」


相田は部活日誌に記入すると、ミニゲームの指示を飛ばした。



5対5のミニゲーム。

まずは黄色いビブス、1年生チームのオフェンスだ。
降旗から黒子、火神へとボールが渡り、伊月がマークにつく。

相田のホイッスルを握る手の力が強まる中、
火神がフェイントで伊月をぬいた。


「いや、まだだ……っ」


伊月も負けじとくらいつく。
けれど、火神の方が一枚上手だった。

フルスピードから切り返しダンクを叩き込む。


「はやっ……」

「うおーっ!ナイッシュー!」


降旗が呟くと、続けて福田も声をあげる。


「すげぇな……フルスピードからあの切り返し。
キレが同じ人間とは思えねぇ」

「もしかしたら、キセキの世代にも勝ってるかもな」


小金井の言葉に土田も頷いた。


「今のならマジでキセキの世代倒せんじゃね?」

「あんな動き早々できねぇって」

「むしろ、もう超えてるかも!」


降旗に河原、福田の声も明るい。

……が、ただ1人黒子だけは、
なにかを考えるような表情をしていた。
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