第4章 本入部
「お前がバスケやるのには、なにか理由があるんじゃねぇの?」
「……僕がいた中学のバスケ部には、唯一無二の基本理念がありました。それは“勝つことが全て”。」
ふと火神を見ると、山積みのハンバーガーに手をつけずに真剣に話を聞いている。
「そのために必要だったのは、チームワークなどではなく、ただキセキの世代が、圧倒的個人技を行使するだけのバスケット。……それが最強だった。」
私のアップルパイを食べる手も止まってしまい、
黒子くんの声を拾うことに集中する。
「……けど、もはやそこにチームはなかった。五人は肯定してたけど、僕はなにか、大切なものが欠落している気がしたんです。」
「で、なんだよ?
お前のバスケでキセキの世代倒しでもすんのか?」
「そう思ってたんですけど……」
「まじかよ!」
手が止まっていたことを思い出してバニラシェイクをひと口。
「それより僕は、この学校で君と監督の言葉にしびれた。今、僕がやる一番の理由は、君とこのチームを日本一にしたいからです」
黒子くんの言葉に再び手が止まる。
このチームを日本一に……。
「したいじゃねぇよ。日本一にすんだよ!」
「ーーっ!」
まただ。火神の言葉を聞くと、心臓が大きくどくん、ってなる。
どきどきして、わくわくして、みんながバスケしてるところを見たくてたまらなくなるんだ。