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平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第4章 本入部


ー翌日ー

いつも通り教室に入るとやけに騒がしくて、
みんな窓際に集まってわいわい話していた。

今日、なんか特別なことあったっけ……?

自分の席に荷物を下ろしてから、もう一度窓際を見る。
一際目立つ赤い髪、火神の姿もあった。


あ、今、バスケするときと同じ笑い方した……。


どうして火神がそんな表情になるのか気になって、
クラスメイトが集まる窓際に近づく。


「見えないじゃんかー……」


必死に背伸びをしても、見えるのはみんなの後ろ姿だけ。

あー、なんかデジャヴ。

入学式のことを思い出してがっくりと項垂れた。


仕方ない。人が居なくなった頃にこっそり見ておこう。

そう思いながらゆっくり踵を下ろしたときだった。


「こうすりゃ見えんだろ」


「うわっ……」


ふわっと体が浮いたかと思えば、一気に視界が開けて、
校庭に白いラインで書かれた“日本一にします”の文字が見えた。


「すご…………」

「これやったの絶対黒子だよな!やべぇ超おもしれぇ!」


あ、これ書いたの黒子くんか!


「黒子くんか!これすごいよ……ね………え……?」

「あ……」


振り返ると人はいなくて、ゆっくり視線を下ろすと火神がいて。

火神がいて……?

あ、脇に手を入れて持ち上げられてる感じか。
だからふわっと浮いたのか、なるほど。

なるほど……?


頭だけ振り返ると視線が合った、ここまで0.5秒。


「え……あ…………」

「う……わり……」


すとんと下ろされて、なんとも言えない空気が流れる。

どうしよう、なにか言わなきゃ。
あれかな、見せてもらったからお礼を言うべき?


「あ、ありがとう……?」

「悪ぃ。……気づいたら……勝手に体動いてた」


そう言ってバツが悪そうに首元に手をやる火神。

心なしか耳が赤く見えるのは気のせい?


「い、いやいや、見れたからよかった!ごめん、重かったよね」

「いや、そんなに重くはなかったぞ?」


そう言った火神の視線は私の顔よりやや下にあって……。


「ーーっ!こんのバ火神っ!!」


頭を殴るには身長が足りなくて、それがまた悔しくて、
脛に渾身の蹴りを入れる。


「……ってぇ…………」


脛をさすって涙目の火神を放置して自分の席に戻り
熱くなった顔を隠すように、机に突っ伏した。
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