第4章 本入部
ー 4月20日(月) 8時25分 ー
リコ先輩に本入部届けを受け取ってもらうために
私は屋上へ続く階段をのぼっていた。
いつもの朝練よりも遅い時間だから余裕をもてたし
小学校中学校と屋上は立ち入り禁止だったから
楽しみで早く来てしまった。
それよりも、月曜日ってなにかあった気がするんだよな……。
そうこう考えているうちに、階段を登りきった。
はやる気持ちを抑えて、立て付けの悪いドアをゆっくりと押す。
「おぉ……」
中学からの癖で15分前行動をしてしまったからか、
まだ誰も来ていない。
天気もよくて、風が気持ちいい。
景色が見たくて柵へ駆け寄った。
「え…………?」
校庭を見下ろして小さく声が漏れた。
校庭にちらほら見えるのは
マイクの準備をしている同じ制服を着た生徒。
あ………………。
思い出した。毎週月曜日は8時45分から集会がある。
そういえば月曜日は朝練をいつもより早く切り上げてたし……。
「リコ先輩何考えてるのー……?」
「みんなが来てからのお楽しみよ♡」
ため息混じりに呟くと、帰ってこないはずの返事が来た。
驚いて振り返る。
「おはようっ!相変わらず来るの早いわね〜」
いつの間にか来ていたリコ先輩が
私の隣で柵に寄りかかっていた。
「ビビったぁー……。もう、びっくりさせないでくださいよ…。」
ほっとしている私の目の前で、楽しそうに笑うリコ先輩。
つられて私も笑ってしまう。
「あ!そうだ、本入部届け……」
手に持っていた紙を差し出すけれど、
先輩は受け取ってくれない。
「まだ受け取らないわよ?みんなが来てから……ね?」
「はい………………」
やだもうリコ先輩怖い。絶対よからぬこと考えてるよ……。