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平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第4章 本入部


「てめぇ、いつからいた?」

「え、うーんと……“やっぱそれなりなんだな……”
ってところから……」


火神くんの口調をまねて言うと、秒速でつっこまれる。


「最初からじゃねぇか!!」

「い、いや、だって、私が先にいたのに
急に後ろで会話し始めたの二人じゃん!」

「てめぇがちびっこいから見えなかったんだよ!
それに俺は話してない!こいつが……」


火神くんが黒子くんがいた方を勢いよく指さした。

私もつられてそちらを見るけれど、
さっきまでいた水色の頭はどこにもいない。


「あれ?黒子くん……?」

「あーくそっ!もういい!教室帰るぞちび!」


頭をガシガシとかきながら
ぼーっとしていた私を置いて歩いていく火神くん。

はっとして小走りで追いかける。


「うっさいバ火神!」


追い越し際にそう呼ぶとすごい剣幕で追いかけてきた。


「てんめぇ……!」


やば、めっちゃ怒ってる!!
負けじと私も全力で走る。

廊下を走っていると、いろんな人が驚いた表情で
こちらを見ていた。


……あ、なんかこれ楽しいな。


ふと小学校や中学校のときの友達のノリを思い出して
無意識のうちに笑いがこぼれた。


よし!火神くんは“くん”とかつけなくていい気がする。
うん。どうせバ火神だもん。つけるのやめよう。

心の中で決めつつ教室へ駆け込む。


息を整えながら席に着くと、ちょうど予鈴が鳴った。
左どなりを見ると、黒子くんが静かに本を読んでいる。

髪の毛、綺麗な水色だな……。
しばらく観察していると、ふいに視線が絡まった。

目を逸らせなくて固まっている私に
本を閉じた黒子くんがなにかを手渡してくれる。


「お疲れ様です」

「…………飴…?」


視線を手の中に落とすと、
小さい透明な包装紙に包まれた飴があった。

私の手にちょこんと置かれたソーダ味の飴。

黒子くんの髪と同じ水色の飴だ。


飴をじっと見つめていると、黒子くんが再び口を開いた。


「さっき、新沢さんをおいて逃走しちゃったので」


小さく笑った黒子くん。


お礼を言おうと口を開いた瞬間
始業を知らせるチャイムが鳴った。
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