第4章 本入部
最近やっとこの学校で迷子にならなくなってきた。
それぞれの教室の位置もなんとなく覚えたから
2年生のクラスの前を通らないように教室へ向かう。
まだお昼休みでざわついている廊下を歩いていると
図書室の前の掲示物が目にとまった。
……バスケ部の記事だ。
「新人戦……関東大会出場……」
さすが先輩方だなぁ……。
あ、この写真は日向先輩かな?
ん?こっちの集合写真……あれ?この先輩だれかな?
「やっぱそれなりなんだな……」
「えぇ、強いですよ」
「え?」
いきなり背後から聞こえた声に、
もしかして邪魔になっていたのかと振り返る。
「うわぁっ!!てめぇは普通に現れろ!意表をつくな!」
「うわ……っ」
背後に立っていたのは黒子くんと火神くん。
いきなりの登場にビビった私の声は、
火神くんの大きな声によってかき消された。
かなりびっくりしたのか、火神くんの眉間のしわがすごい。
それに動じない黒子くんが、口元に人差し指をあてて、
もう片方の手で図書館のプレートを指している。
図書館の前だから静かにしろということらしい。
ところで、私の存在には気づいていただけないのだろうか。
一応同じクラスで同じ部活なんだけど……。
二人を見なかったことして教室に戻ろうかと考えていると、火神くんの大きな手が黒子くんの頭をがっしりと掴んだ。
先ほどの黒子くんの態度が気に食わなかったご様子。
「おちょくってんのか?おちょくってんだよなおいごるぁ!」
「か、火神くん!暴力はよくないんじゃ……」
つい反射で言ってしまい、慌てて両手で口を押さえた。
二人の視線が集まり、火神くんの手から力が抜ける。
「痛い……」
KYのごとく気の抜けた声で言いながら
頭をさすっている黒子くん。
手が空いた火神くんがぎろりとこちらを睨んだ。