第3章 部活に入ろう
部活が終わった帰り道。
一緒に帰る人のいない私は、一人でマジバへと立ち寄った。
今日のミニゲームのことを興奮が冷めないうちにまとめておきたかったのもあるけれど、ただ単にスティックアップルパイが食べたかったのでマジバを選んだ。
できればモックとか行きたいけど、
お財布に優しくないのでやめておく。
アップルパイを食べ終えた私は、
一緒に頼んだアイスティーを片手に
せっせとノートにまとめていた。
「ごふっ……………どっから!?っつかなにやってんだよ!」
大きな声に驚きシャーペンの芯を折ってしまった。
聞き覚えのある声に、まさかと思いながら
声がした右斜め前のテーブルを見る。
視界に入ったのは、水色の頭と赤い頭。
テーブルには飲み物と大量のハンバーガー。
………………黒子くんと火神くんだ……。
無意識のうちにため息が溢れる。
なんでこんなにふたりに遭遇するかな?
そのうちストーカーだと思われそう……。
そう思いつつも、ついつい二人の会話を拾って。
「僕が先に座ってたんですけど……。
好きなんです。ここのバニラシェイク」
あ、黒子くんが持ってたのバニラシェイクだったのか。
意外にかわいい物好きなんだなー。
「ふんっ……どっか違う店いけよ」
え、いや、最初にいたの黒子くんって言ってたよね?
火神くんさすがにそれは横暴すぎるんじゃ……。
「嫌です」
「誰かに見られたら仲いいと思われんだろうが!」
店内を見回しながら言う火神くん。
ごめんなさい見ちゃいました。
……二人が出るまで店から出るのやめよう。
「もともと通いつけのお店なんですよ。」
黒子くんの言葉に、ため息をつく火神くん。
「……ほらよ」
しばらく間を置いて、
山積みのハンバーガーから一つ黒子くんに投げ渡した。
「バスケ弱い奴に興味はねぇ。
……が、それ一個分くらいは認めてやる」
「どうも」
ハンバーガーを見ながら小さく笑った黒子くん。
ハンバーガー一個分ってどれくらいなんだろう
そうこうしているうちに火神くんは
山積みだったハンバーガーを食べ終えたようで、
二人仲良く店を出ていった。
しばらく時間をおいてから、私も店を出る。
まだ少し肌寒い季節だけど
今日の風はなんだか気持ちが良かった。