• テキストサイズ

平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第3章 部活に入ろう


先ほどの黒子くんの言葉を思い出して、黒子くんを探した。

はっと息をのむ。

気がつくと黒子くんはノーマークで、ボールがパスされたと思えば、ほかの人へ既に渡っていて……、


魔法みたいだ……。


「打て!シュート!」


火神くんの声で現実に引き戻される。


「ミスディレクション…………」


隣でリコ先輩が小さく呟いた。

言葉の意味が分からなくて、
コート内へ視線を向けたまま口を開く。


「黒子くんは……パスの中継役になっている…んですよね……?でも、どうしてあんなに……」


私の聞きたいことが分かったようで、
リコ先輩が少し早口で話し始める。


「ボールに触っている時間が極端に短いのは分かる……?」


次々とパスを回す黒子くんから目が離せないまま頷く。


「元々の影の薄さをもっと薄くした……というより、自分以外に相手の意識を誘導している、自分以外を見るように仕向けているのよ。これをミスディレクションって言うの。手品とかでもよく使われる手法よ。」


リコ先輩の説明を聞く間にも点差は埋まってついに一点差。

白熱した空気に背筋が伸びる。


2年生チームのパスをカットして、黒子くんにボールが渡った。


「行けぇ黒子ぉぉ!!」

「黒子くんっ!」


みんなの視線が集まるなか、黒子くんがボールを放つ。



……………………が、見事にリングに当たり、外れた。



「「あぁ…………」」


誰もが1年生チームの負けだと思ったその瞬間、
外れたボールは再びゴールへと叩き込まれた。


「だから弱い奴は嫌いなんだよ!ちゃんと決めろ、タコ」


ミニゲームは1年生チームの勝利。

やりきった表情の火神くんと黒子くんが視線を合わせていた。

他の1年生もハイタッチを交わしている。


やっぱりいいな、こういうの。


私も自然と笑顔になっていたようで
リコ先輩に生意気だとほっぺを引っ張られた。
/ 140ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp