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平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第3章 部活に入ろう


あぁ、この感覚。懐かしい。

たかが練習のミニゲームかもしれない。

それでも、緊張もあるけれど、それ以上にわくわくするこの感覚は、何度経験してもたまらない。

ジャンプボール直前のこの瞬間は、
自分もコートに立っているような気持ちになれる。


みんな、頑張れ……!


シャーペンを握る手の力が強まるのが分かった。


1年対2年のミニゲームが始まる。


やっぱり目を惹くのは火神くん。
ジャンプボールもとったし、ダンク決めちゃうし、
プレイもパワフルで、スピーディーで、ケタが違う。

試合は1年生が押しているかと思えたけれど、
なにかが引っかかる。

……火神くん、頑張りすぎてないかな…………。


ふと、思い出したように黒子くんを探す。

……お世辞にも上手とは言えないし、ミスも目立つ。
不安だ……。


それから2年生チームが火神にトリプルチーム、
ボールを持っていなくてもダブルチームを仕掛ける。

火神くんが動けなくなると、みるみる点差は開いていき
15対31で今度は2年が押している形になった。

やっぱり2年生は強い。


「ていうか勝てる訳なかったし……もういいよ……」


1年生の誰かが小さく呟いた。


「……もういいって、何だそれおい!」


火神くんが凄い剣幕で降旗くんの胸ぐらを掴んだ。


コート内の空気がピリッと張り詰める。

私に喧嘩をとめることなんてできないから、
ただその様子をながめることしかできない。


カクン


そんな小気味のいい効果音がつきそうな膝カックンが
火神くんにはいった。


「落ち着いてください」


静かな声。
火神くんに膝カックンをしたのは、黒子くんだった。


「てめぇ………!」


怒り狂った火神くんが黒子くんに掴みかかろうとするのを、同じ1年生が3人がかりで必死に止めている。


黒子くんなんでそんな怒りが増すようなことするの!?
火に油注ぎまくっちゃってるよ!!?


私はオロオロしながらコートを見ることしかできない。
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