第3章 部活に入ろう
「……最後に一つ忠告してやる。お前バスケやめた方がいいよ。努力だのなんだのどんな綺麗事言っても、世の中に才能ってのは厳然としてある。お前にバスケの才能はねぇ」
その言い方はさすがにひどいんじゃ……。
つい口を挟みたくなるのをぐっとこらえる。
「それは嫌です」
私の不安も他所に、真っ直ぐに火神くんを見て
黒子くんは言った。
「あ”?」
「まず僕、バスケが好きなので。それから見解の相違です。僕は強いとか弱いとかどうでもいいです。」
「なんだと?」
「僕は君とは違う。僕は……影だ」
………………?
なに!?影って何!?
厨二病にしか見えないよ黒子くん!
そのまま動けずにいると、広樹が私の手を離して
火神くんの方へ走っていってしまった。
「広樹っ!」
大きな声を出してしまったと気づいた時にはもう遅くて、
火神くんと黒子くんの視線がこちらに向いていた。
心拍数が急激に上がる。
冷や汗が止まらない。
「お兄ちゃん!お兄ちゃんばすけじょーずだね!」
「…………………………」
「「……………………」」
広樹が火神くんの前で跳ねながら
先程の感動を伝えている声がすごく遠い。
杏樹は焦ったように私と広樹を交互に見ている。
私は……帰りたい気持ちと時間を戻したい気持ちで
いっぱいだった。