第3章 部活に入ろう
「あんちゃんは、かるぴすのやつね!」
「ひろくんはぶどうー!」
「はいはい……」
自販機に小銭を入れ、2人の言うジュースのボタンを押す。
ジュースを二人に渡すと、満面の笑み。
くっそー……この笑顔を見たらつい甘やかしちゃうんだよな……。
自分もなにか買おうと小銭を手に取る。
「ねぇねぇ、奏ちゃん、ぼーるのおとがするー」
広樹が私の着ているパーカーの裾を引く。
耳を澄ますと、確かにボールの弾む音が聞こえる。
杏樹もしきりにボールの音を気にしているようだ。
「あ、そういえばこの近くにバスケットコートあったっけ……」
ぽつりと呟くと、2人がそれに反応する。
「ばすけ?ばすけ?あんちゃんみにいきたーい」
「ひろくんもーー!」
やば、余計なこと言っちゃった。
ここは“そんな音しないよー”ってごまかすところだったのに!
こんな時間にバスケットコート使うとか誰だよおい。
あぁもうそんなにぴょんぴょんしたら炭酸がぁ……。
文句を言いたいところだけど、これは抵抗しても無駄だと思い、2人に腕をひかれるままバスケットコートへ行くことにした。