第3章 部活に入ろう
ーその日の夜ー
第三者side
学校付近のバスケットコートで火神が練習している姿を
たまたま通りかかった黒子が眺めていた。
夢中になってシュートを打っていた火神だったが、
黒子を視界に入れた瞬間、放ったボールはゴールから外れた。
「お前…… いつの間に」
ゴールから外れたボールは黒子の手中にあり、火神が声をかける。
「何やってんだ」
「君こそ一人でなにやっているんですか?」
「別に。なんもやってねぇよ」
「そうですか」
そこで会話が終わってしまうと、
しばらくして火神が口を開いた。
「……俺は中2までアメリカにいた。
こっちに戻ってきて愕然としたよ、レベル低すぎて」
「………………」
火神の話をじっと聞く黒子。
「俺が求めてんのはお遊びのバスケじゃねぇ。もっと全力で血が沸騰するような勝負がしてぇんだ。…………聞いたぜ?同学年に“キセキの世代”って強ぇ奴らがいるらしいな。お前はそのチームにいたんだろ?」
「……はい」
一瞬顔を強ばらせたものの、すぐに元の表情にもどり
小さく頷く黒子。
火神もたんたんと話を続ける。
「俺もある程度は相手の強さはわかる。やる奴ってのは独特の匂いがすんだよ。…が、お前はおかしい。弱けりゃ弱いなりの匂いがする筈なのに、お前は何も匂わねぇ。強さが無臭なんだ。……確かめさせてくれよ。お前が…… “キセキの世代”ってのが、どんだけのもんか」
真っ直ぐにお互いの目を見る。
冷たい風が二人の頬を掠めた。
長いようで短い沈黙のあと、黒子は静かに言った。
「………奇遇ですね。
僕も君とやりたいと思っていたんです。1on1」