第3章 部活に入ろう
帝光中ってバスケめっちゃ強いところだよね?
たしか全中も三連覇したらしいし……。
わくわくして振り返ったけれど、
火神くんより後は人がいない。
先輩たちの勘違いなんじゃ……?
残念に思いながら資料を見る。
どんな人なんだろ、黒子くん…………。
……………………ん?
黒子くん……?
今、黒子くんって言った?
あぁ、私の隣の席の子もそんな名前だったなー。
……………………………………え?
いやいやいやいや!!!!
人違いだって!
ほら、黒子とかよく聞く名前だし!?
「今日は休みみたいね。
いいよー!じゃあ練習はじめるよー!」
私がもんもんと悩んでいると、リコ先輩が声をあげた。
慌てて準備に取り掛かろうと動く。
「あの……!すいません。黒子は僕です」
ぽそっと聞こえた小さな声。
でもそれはたしかに聞き覚えのある声で、
まさかと思い振り返る。
「きゃあぁぁ!!︎」
「うわぁ!何!? いつからいたの!?」
「……最初からいました」
悲鳴を上げるリコ先輩と、びびっている日向先輩。
その視線の先にいて、質問に答えたのは、
たしかに、私の左どなりの、黒子くんで……。
声を出して驚かなかったものの
開いた口が閉じないとはまさにこのこと。
私、今かなり間抜けな顔してる。
「…え? じゃあつまりコイツが“キセキの世代”の!?
まさかレギュラーじゃ……」
震える指先で黒子くんを指す小金井先輩。
“キセキの世代”……月バスで見たことある。
異様に頭がカラフルだった気が……。
黒子くんに集まる視線。
「それはねーだろ……。ねえ、黒子君?」
日向先輩が冷や汗をかきながら尋ねる。
「試合には出てましたけど……」
大勢の視線に声が小さくなるけれど
それすら聞き取れるくらい静かな体育館。
『あ……中2からレギュラー……書いてある……』
資料を見ていた私は、ぽつりと呟いた。
「「「…………え、えぇぇぇぇぇぇ!!?」」」
静かになったかと思えば
一斉に声をあげて驚くバスケ部一同。
……私はむしろみんなの叫んだ声にびびったけれど。