第3章 部活に入ろう
「真実ならどっちもうまくできそうで羨ましいよー。
私はスポーツ苦手だからなぁ……」
拗ねたような口調で言えば、
頭をぽんぽんと撫でてくれる真実。
やばい、イケメンやん。
惚れてまうやろ。
「仮入部期間にどっちの部活にも行ってみて、
仕事との兼ね合いも考えつつ、自分に合う方にしようと思って。……………………よしっ!ほーら、髪の毛可愛くできたよ?」
鏡を手渡してくれたので、それを覗き込む。
「おぉ…………」
ふたつ結びに変わりはないけれど、
両サイドにあみこみをいれてくれた。
こんなの私じゃできないから、ほんとに尊敬する。
「私、三つ編みはできるけど編み込みはできないからなー。この前も妹に強請られたんだけど、どうもできなくて……」
「けっこう簡単だよ?ってか妹いるの!?」
苦笑いで答えた私に、食い気味に尋ねてくる真実。
「いるよー。弟と妹、双子なの」
「いいなー!しかも双子!?私は兄さんだけだったから、下に兄弟がいるの憧れてた……」
「私は逆にお兄ちゃんに憧れてたなぁ……。
あ!今度うちにおいでよ!妹も喜ぶと思うし!」
「ほんと!?じゃあうちにも招待するね!」
「やった!」
真実のお兄ちゃんとか、きっとイケメンさんだろうな……。
「あー……真実みたいに器用になりたーい」
「ってか私にできないこととかないから。どや。」
「うわ、絶対弱点探してやるもん」
ノリで言い返すけれど、
真実の弱点なんて見つかる気がしない。
悔しくて睨んでみるけれど、やっぱり真実には効果がなくて、みょーんとほっぺをのばされた。
「これ以上ブスにされたら生きていけないんですけどー」
「生きろ、そなたは美しい」
「ちょ、ここでもの〇け姫ネタとか不意打ちだからっ!」
真実が急に真面目な顔で”もの〇け姫”のマネをしだしたもんだから、ツボって笑いが止まらない。
2人でつい大きな声で笑ってしまって、
慌てて周りを見渡すと、教室は徐々に騒がしくなっていたようで、あまり目立ってはいなかったみたいだ。
真実は私の前の席の男子が廊下を歩くのが見えたようで、「またあとでね」と一つ声をかけて自分の席に戻って行った。