第3章 部活に入ろう
「そう。今は、“MASAMI☆”じゃなくて、真実なの!」
「うん……?」
まだ少ししか理解できなくて、頷くことができない。
「うーん……とりあえず、雑誌のこと褒めてもらえるのはすごく嬉しいし、この仕事に誇りもある!……けど、奏には、モデルしてるとか気にしないで、友達として普通に接して欲しいなーって思ったの」
そう言ってからからと笑う真実。
そこまで言われてようやく理解できた。
私にはおぼろげにしか想像できない世界だけれど、
やっぱり、モデルとか人から注目される職業って
悩みがつきものなんだな……。
慌てて頭を下げる。
「ごめん!真実の気持ち考えずに言っちゃって……!
でも、その……」
私がおろおろとしていると、目の前の真実が笑い出した。
意味がわからなくて余計にテンパる。
「分かってるよ。素直に褒めてくれたんでしょ?でも、雑誌を私の前に持ってきたのは恥ずかしかったから、お返しー」
私の顔を見て、ぺろりと舌を出して笑う真実。
「よかったー……嫌われちゃったかと思ったよー」
心底安心して、体の力を抜くと真実に頭を小突かれた。
「奏がミーハーじゃないことぐらい
下駄箱で会ったときから分かってたって!」
「どうせ時代に乗り切れてないですよーだっ!」
負けじと言い返して、2人で笑い合う。
そうこうしている内に先生が来ていて、
真実が慌てて自分の席に戻っていく。
その背中を見ながら、昨日下駄箱で会えたのが真実でよかったと改めて思った。