第5章 モデルさんと海常高校
「お前は何を考えてんだ!!
あのまま喧嘩になったら勝てるつもりだったのかよ!」
黒子くんに向かって怒鳴る火神。
なんだかんだで優しい彼だから、
きっとすごく心配していたのだろう。
「いや、100%ボコボコにされてました」
「てめっ!!」
「見てください。この力こぶ」
「ねーしっ!!」
自信満々に力こぶを作って見せる黒子くんだけど、
Tシャツから覗くのは白くて細い二の腕。
女子かっ!!!
100%ボコボコにされてたとか……
「黒子くんあんまり無茶なことしないで?寿命が縮まるよ……」
「黒子っちってたまにすごいよね」
私の言葉に涼太が続ける。
たしかにその通りだ。
仮入部のときのミニゲームも火神にひざかっくんしてたし……。
怖いもの知らず…………?
「それでもあの人たちはひどいと思いました。
……だから言っただけです」
「だーから、その先を考えろっ!」
「……忘れてました」
「だっ、忘れてましたじゃねーよっ!!」
「……すいませんでした」
「お前自分でも100%ボコられるって言ってただろ!」
「……すいませんでした」
火神に怒られて拗ねている黒子くん。
不謹慎ながら可愛い……。
必死で笑いをこらえていると、隣にいる涼太の小さく笑う声。
不思議に思って彼を見上げたけれど
逆光でその表情はうまく読み取ることができなかった。