第5章 モデルさんと海常高校
ボールをくるくると回して明らかに挑発している黒子くん。
ぼ、暴力沙汰になったら…………。
私がどうしようかと焦っているうちにも、
コート内へとずかずか入っていく2人。
慌てて私もあとを追う。
「あの~、俺らも混ざっていいっスか?」
「っつーか、なにいきなりかましてんだてめぇ」
「でけぇ!」
「なんじゃありゃ!?」
あんなでかい高校生なんて滅多にいないもんな……。
思わず苦笑いをしつつも、
5人ともチャラチャラしていて若干怖いので
火神と涼太の後ろに隠れておく。
「5対3でいいぜ。かかってこいよ」
そんな火神の声を聞きながら、
蹴られていた男子学生の元へ向かった。
「あのー……けが、大丈夫ですか……?」
「え、あ、大丈夫っす……」
いきなり話しかけたのがまずかったのか、
首を横にふられた。
……どうしよう…………。
「えっと、救急箱持ってるので……簡単な消毒とか……」
エナメルバッグから救急箱を取り出して見せると、
なにやら3人でこそこそと話しはじめた。
私、そんなに不審者に見えるのかな…………。
「じゃあ……お願いしてもいいですか?」
「はいっ!」
怪我の手当を終える頃には、
ちょうどバスケの方もかたがついていた。
「簡単な手当しかできてないけど……こんな感じで」
「ありがとうございます!」
「いえいえ。それにあっちも終わったみたいですし……」
「「「し、瞬殺……」」」
私がコート内を指さすと、目を見開く学生さんたち。
「それじゃあ、私たちはこのへんで……」
まだ呆然とコート内を見ている彼らに軽く頭を下げてから、先にコートの外へと向かっている三人を走って追いかけた。