第5章 モデルさんと海常高校
「それにほら……涼太は学校が違うし、誕生日に渡さないだろうから、変わりってことで……ね?」
まだ納得いかないといった表情の火神。
……なんだか広樹と杏樹と話してる気分になってきた。
「そんなに食べたいのなら今度作っていこうか?……あ!それとも、お店のやつの方がいいかな?お母さんが作るの美味しいんだよ!」
「…………お前のでいい」
ようやく納得してくれたようで、そっぽを向いてぼそっと言う火神がなんだか可愛く見えた。
「そう?じゃあ、今度作って学校に持っていくね!」
「ちょっとちょっと!誕生日ってなんの話っスか!?」
「うるせぇお前には関係ねぇよ」
「俺は奏っちに聞いてるんス!
ねぇ奏っち~!なんの話っスか~?」
矛先を私に変えた涼太に腕をぐいぐい引かれる。
なんかもういちいち説明するのめんどくさいな……。
「いや、特に深い意味はないから……」
「奏っちってば~」
「お前いい加減離れろっ!」
「えぇ〜〜!!」
私にひっつく涼太を火神が力づくで離してくれた。
「さて、黒子くんも見つけたし早く帰ろっか」
そう言って黒子くんの方を向いたつもりだったけど、
彼の姿がない。
「あれ?黒子くんは……?」
「さっきまでその辺にいただろ?」
「またいなくなっちゃった……?」
火神ときょろきょろしていると、涼太に呼ばれた。
「ほら、あそこにいるっス!」
涼太が指したのは、バスケコートの方。
公園に来る前に見た学生の他に、
ガラの悪そうな5人組が増えている。
その中にひとり、水色頭の黒子くん。
無謀にも、ガラの悪そうなグループのリーダーっぽい人になにやら文句をつけているらしい。
「な~にをやっとんじゃあ!?」
「黒子っちぃ~!!」
「嘘でしょ……」
一難去ってまた一難ですか……。