第5章 モデルさんと海常高校
「黒子と……黄瀬だな」
「同じ中学出身だし、思い出話でもあるのかねぇ?」
話しながら公園へと歩く。
「……っ」
「おわっ…………と」
突然足を止めた火神にぶつかりそうになって
ぎりぎりのところで体制を立て直した。
どうしたのかと顔を覗かせれば、
黒子くんと涼太はかなり真剣な話をしているらしい。
火神の陰に隠れながら涼太の話に聞き耳を立てる。
「……けどひとつ言えるのは、黒子っちが火神を買うのがバスケへの姿勢だとしたら、黒子っちと火神は、いつか…………決別するっスよ」
涼太の言葉に息をのむ。
隣の火神も眉を寄せ、なんとも言えない表情だ。
「俺と四人との決定的な違い……それは身体能力なんかじゃなく、誰にも…………俺にも真似できない才能を、それぞれ持ってるってことっス」
涼太が話しているのは、キセキの世代のことだろうか。
もっともっと強い人があと4人もいるんだ……。
「今日の試合で分かったんス。アイツはまだ発展途上。
そしてキセキの世代と同じ、オンリーワンの才能を秘めてる」
今日の試合の最後の火神のジャンプを思い出す。
「……今は、未完成な挑戦者っス。ただがむしゃらにプレイして、 強敵と戦うことを楽しんでいるだけのね」
“勝てないぐらいがちょうどいい”
たしか火神はそんなことを言っていたっけ。
「……けど、いつか必ず、キセキの世代と同格に成長して、チームから浮いた存在になる。そのとき火神は、今と変わらないでいられるんスかね?」
火神が……チームから浮いた存在に?
うまくイメージができなくて、ぼーっと立ちすくむ。
「てめぇなにふらふら消えてんだよ」
「うわっ!」
その声にはっとして意識を戻すと、火神が黒子くんと涼太のところにいることに気がついた。
慌てて駆け寄って、
腰のあたりをさすっている黒子くんに声をかける。
「だ、大丈夫……?」
「なんとか大丈夫です……」
さっきの“うわっ!”は、
黒子くんが火神に蹴られた声だったのか……。