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平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第5章 モデルさんと海常高校


ステーキ屋さん……って、ここ、かな?


それらしき店を見つけて中を覗くと、
誠凛メンバーが座っているのが見えた。


無事たどり着けたことに安心してほっとひといき。


「遅れてすいませ……ん…………?」


店内を見て固まった。



オレンジジュース片手に笑顔のリコ先輩。

ステーキの山をリスのごとくもぐもぐしている火神。

その目の前で机に突っ伏している
黒子くん、日向先輩、伊月先輩、
土田先輩、水戸部先輩、小金井先輩。

違うテーブルで顔を真っ青にして魂がぬけかけている
降旗くん、福田くん、河原くん。



この状況を見て、
ステーキの描かれたポスターを発見して、
何が起こったかを悟るまで1.5秒。


どうしたものかとその場から動けずにいると、
にこにこ笑顔のリコ先輩と目が合った。


「あら!奏ちゃん!!」

「遅れてしまってすみません」

「大丈夫よ、気にしないで。火神が食べ終わるまで
どこか空いてる席に座っちゃってて」

「分かりました!」


どこに座ろうかと考えていると、
頭に包帯をまいた黒子くんと目が合って駆け寄る。


「ステーキ、おいしかった?」


ニヤニヤしながら尋ねると、力なく首を横に振る黒子くん。


「もうしばらく肉を見たくありません……」

「そっか……」


ぐったりした様子に思わず苦笑い。


「あ!怪我したところ、異常なくてよかったね」

「はい。試合のときは手当ありがとうございました」

「いえいえ。今度からあんまり無茶しないでね?
心臓に悪いから……」

「気をつけます。…………たぶん」

「今ぼそっと“たぶん”って言ったの聞こえてたからね?」


彼の頭を軽く小突いて、私は1年生3人が座る席に向かった。






「ここ、座ってもいい?」


丸テーブルに椅子が4つ。

そのうちのひとつを指して尋ねると、
3人ともぐったりした様子で頷いてくれた。


重かったエナメルバッグを下ろして椅子に座り、
クリーム色の紙袋を膝の上に乗せた。


あのステーキの後に渡しちゃって平気かな……。

私は“彼”の表情を伺いながら考える。


……ま、家帰ってから食べてもらえば平気だよね。
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