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平凡な私と目立ちすぎる仲間たち【黒子のバスケ】

第5章 モデルさんと海常高校


…勝った……の…………?




「よっしゃあぁぁっ!!!」




体育館に火神の声が響く。

それに続く誠凛メンバーの歓喜の声。


リコ先輩が親指を立てて、日向先輩、伊月先輩、水戸部先輩がそれを返すのをぼんやりと見ていた。


嬉しい、すごく嬉しい。

それなのに、ハイタッチを交わす降旗くんたちの横で
口元に手を当てたまま動くことができない私。



「心配しないで、って言ったでしょ?」



目の前には誠凛のユニフォームに刻まれた7という数字。

ゆっくりと顔を上げれば、笑顔の伊月先輩がいた。



ほんとに……勝ったんだ…………。



そう思うとようやく実感が湧いてきて、
伊月先輩を見上げて笑顔を向けた。


「すごく……すごくかっこよかったですっ!」

「ありが……「おいおい、伊月だけかよ?」


先輩の声を遮るように話に入ってきたのは日向先輩。


「日向先輩もかっこよかったですよ!
もちろん水戸部先輩もです!!」


そう告げれば、笑顔を返してくれる先輩方。


「なーにやってのよ!はやく整列してきなさいっ!」

「痛っ!!」


横から現れたリコ先輩が日向先輩の頭をどこから出したのか分からないハリセンで叩いた。

リコ先輩の接近にいち早く気付いたらしい水戸部先輩と伊月先輩は、すでにコート内へと足を向けていてハリセンを回避。

頭をさすりながら整列へ走る日向先輩の後ろ姿を見たらつい笑ってしまった。




整列をはじめる選手たちを見ていると、
コート内で立ちすくむ黄色い頭の彼も見つけた。

早く整列しないと笠松先輩に怒られちゃうぞー、なんて思いながら、自分の仕事に移ろうとした次の瞬間。



彼の頬を伝う、涙



エナメルバッグに伸ばした手が止まった。

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