第5章 モデルさんと海常高校
リコ先輩の指示がとび、
応援の声もヒートアップする。
誠凛も海常も一歩も譲らないまま残り10秒を切った。
ディフェンスを固める動きを見せる誠凛。
でも、誠凛に延長戦を戦う体力は…………。
「守るんじゃダメ!!攻めて!!」
リコ先輩の声が響いた。
残り7秒。
笠松先輩がゴールへと放ったボールを火神が止めた。
ゴールまで駆け抜ける火神と黒子くん。
それを止めにかかる涼太。
ぐっと手を握り、一瞬たりとも見逃さないように
ボールを目で追う。
ボールは火神から黒子くんへ。
黒子くんにシュートという選択はないはず。
これってつまり…………。
「アリウープ……?」
私の小さなつぶやきを拾ったリコ先輩が隣で頷く気配がした。
ピーーッ
火神がボールをゴールに叩き込んだと同時に
ホイッスルの高い音が鳴り響いた。