第5章 モデルさんと海常高校
「奏ちゃん!救急箱持ってきて!」
黒子くん………………。
「奏ちゃんっ!?」
「新沢さん……?」
「え……?」
肩を叩かれ、ゆっくりと首を回す。
「監督が、救急箱用意してくれって……」
心配そうにこちらをみる降旗くんと目が合って
やっと現状を把握した。
「あっ、ご、ごめんなさい!!」
慌ててリコ先輩の元へ救急箱を運ぶ。
「……どうする?」
「黒子くんはもう出せないわ。
残りのメンバーでやれることをやるしかないでしょ」
ベンチに横たわる黒子くんに手当をしながら
日向先輩とリコ先輩の話を耳に入れる。
「オフェンスは2年生主体でいこう。まだ第二クォーターだけど、離されるわけにはいかないわ。早いけど勝負どころよ、日向くん」
「あぁ」
包帯を巻き終え、ゆっくりと深呼吸をする。
冷静なリコ先輩の声を聞きながら、
微かに震えていた指先をぎゅっと握った。
こんなんじゃダメだ。
しっかりしなくちゃ。