【CDC企画】チョコ食べすぎたら鼻血出るってほんと!?
第4章 昔と微笑み
それから数時間後、が再び社長室に戻ってきたとき、ルーファウスは珍しく仮眠をとっていた。
備え付けられたソファにゆったりと体を預け、いつもはきっちりと着こなしているスーツも、窮屈だったのか着崩されている。
まだ、ソファで仮眠をとるには寒い季節。
はまったく…と小言を言いながら、ソファのひじ掛けに腰を下ろした。
『社長、風邪をひきますので起きられてください』
細い金色の髪を梳くように撫でると、ルーファウスはほんの少し身じろぎをする。
『…昔とは逆』
ぼそりと呟いたその言葉。
「そうだな」
誰にも聞かれていないと思っていたからこその本音は、この意地の悪い男に聞かれていたようで
整った切れ長の目が、ぱっちりと開かれた。
『いつから』
「さあな」
楽しくてたまらないといった笑顔で、ルーファウスはを見つめる。
は困ったように眉根を寄せ、唇をとがらした。
「」
『ん…ぅ』
下にぐん、と引き寄せられ唇を奪われる。
態勢が苦しいのを分かってか、ルーファウスは早々に切り上げた。
「私が、上の空だった理由、知りたいか?」
『別に…』
昔からルーファウスは試すような言葉ばかり。
それがルーファウスなのだと割り切ってはいるものの、どうもなれないのは確かで。
「相変わらず冷たいな、は」
『昔より随分ましだと思うけど?』
つい、軽口を叩いてしまう。
でも、ルーファウスも、それがだと分かってくれているようで、それ以上は追及しない。
『昔は…』
だが、今日は珍しくが口を開く。
なんだろう、とルーファウスが興味を示すと、は続けた。
『昔は、私の髪を撫でるのがルーファウスで…。
私を甘やかしてくれるのがルーファウスだった。
それがね、逆だなぁって思うようになってきてるの。
憧れの人だったルーファウスに、私は少しずつだけど近づけてる気がする』
それが、嬉しい。
そうほほ笑んだ。
『少しはルーファウスに追いつけてる?』