【CDC企画】チョコ食べすぎたら鼻血出るってほんと!?
第4章 昔と微笑み
バレンタインデー
それは、恋心を抱いている乙女が相手にチョコレートを贈る日。
世界中の男が期待に胸を躍らせる最高の日。
そんな日を、誰よりも心待ちにしていた男ここにも一人…
『社長、こちらの書類にもサインをお願いしたいのですが…』
「あ、ああ…。すまない」
・レオンハート。
世界で最も強く美しいと謳われている女。
彼女は、ここ「神羅カンパニー」でタークスとして働いている。
昔は、神羅を嫌っていたであったが、今ではこうして立派に働いている。
星痕やジェノバなどのしがらみから解き放たれた世界。
青い空が広がり、美しい景色を拝む事の出来る。
普通な平穏な日々。
にとって幸せな日々。
だが、なぜか今日は違った。
神羅カンパニーの社長であり、の恋人であるルーファウス神羅。
彼の様子がおかしいのだ。
らしくないミスを連発し、の言葉もまったく耳に入っていない様。
何かしただろうかと、は自分の行動を思い返してみたが、心当たりはない。
『社長?』
「…」
また、聞いていない。
ここまで自分の話を聞いてもらえないと苛立つものだっただろうか。
まったく…仕事中ぐらいしっかりしてよ…
はモヤモヤを吐き捨てるために大きくため息をついたが、それが消えることはなく、の中にとどまり続けた。
もう一度、今度は小さな溜息を吐く。
そして、右手をルーファウスが仕事をしているデスクについた。
…まだ気付かない。
モヤモヤが大きくなっていく。
リミットブレイクでもしてしまいそうな勢いだ。
その苛立ちをぶつけるようにして、私はルーファウスの薄い唇にキスをした。
ルーファウスの唇は、ほんの少し渇いていた。
その渇きを潤すように、はルーファウスの唇を舌でなぞる。
閉じていた瞼を開ければ、ルーファウスの驚きに満ちた顔。
そんな幼い頃のような表情に、先ほどのモヤモヤは吹き飛び、同時に愛しさがわきあがる。
抱き締めたかったが、仕事中であることを思い出すと、は間髪いれずにルーファウスから離れた。
『書類、預かります』
キスの間に盗んだ書類を、は己の顔の横で揺らして見せ、恥ずかしさの滲んだ笑顔を隠すように社長室を後にした。