第12章 告る
後片付けが一段落した私は、逢坂くんの隣に座ってテレビゲームの画面を見て説明する。
「逢坂くんが部活してる間、少し進めてたんだけど、ここで詰まっちゃったの。逢坂くんわかるかな?」
「うーん…ゲームはあまり詳しくないけど…。いろいろやってみるね」
「うん。適当に遊んでて。私は北城くんにヘルプしてみるかな。あんまり最初のほうで詰まってるって言ったらバカにされそうだけど…」
私はスマホを取り出してLINEを開く。
北城くんっと…あれ…?
私、北城くんのLINE、登録してなかったっけ?
……。
「このボタンは何かな?」
ピッ
「あっ! 逢坂くん、そのボタンは…!」
逢坂くんが手にかけたボタンを見て、私はあわてて止める。
でももう遅かった…。
「え?」
「ああもう! リセットボタン押しちゃった!」
「リセットボタン? データが消えちゃったってこと? ごめん…。テレビゲームなんて小学生以来で…」
すまなそうな顔で彼が謝る。
そういう顔ってちょっとセクシー…なんて私は思っちゃったりする。
ずっと見てたいけど…。
「いいよいいよ…。まだ始めたばかりだし」
私は彼の唇の端を指でつつく。
笑って? っていうサイン。
彼は嬉しそうに微笑む。
「サキ、世界史に興味があるのなら本を読むといいよ。僕、いい小説を知っているんだ。フィクションだけどね、この時代の文化や人びとの暮らしがいきいきと描かれている作品だよ」
「そうなんだ。逢坂くんのお勧めの本、読んでみたいな」
私は彼の顔を見て、ニッコリ微笑む。
彼も。