第12章 告る
「ほら、昨日言ってたゲーム」
休み時間、教室で隣の席の北城くんが、私にゲームソフトを差し出す。
「わぁ、ありがとう。私に出来るかな? 攻略本とかある?」
「バーカ。そんなの見ないでやれよ。どうしてもわかんねーとこあったら俺にLINEで聞け。前、教えたよな」
「そっか。じゃあわからなかったらLINEするね。ありがと」
……
「あれ? サキ、テレビゲームなんてするの?」
夕食の後片付けをしているとき、リビングでお茶を飲んでいた逢坂くんが、テレビに繋ぎっぱなしのゲーム機を見つけて、私に声をかけた。
「うん。久しぶりにやってみたの。北城くんと世界史の話で盛り上がったとき『お前の好きそうなゲームあるから貸してやる』って言ってくれて」
「へぇ…テレビゲームで釣って君に近付こうなんて姑息だね…」
「え? 何か言った?」
私はお皿を洗いながら、水音に混じる彼の声に耳を澄ませる。
「ううん。僕もこのゲームやってみていい?」
振り返った私に、彼がニッコリ微笑む。
「いいよ」
私もニッコリ笑って答える。