• テキストサイズ

境界の先

第12章 告る


「ほら、昨日言ってたゲーム」

休み時間、教室で隣の席の北城くんが、私にゲームソフトを差し出す。

「わぁ、ありがとう。私に出来るかな? 攻略本とかある?」

「バーカ。そんなの見ないでやれよ。どうしてもわかんねーとこあったら俺にLINEで聞け。前、教えたよな」

「そっか。じゃあわからなかったらLINEするね。ありがと」

……

「あれ? サキ、テレビゲームなんてするの?」

夕食の後片付けをしているとき、リビングでお茶を飲んでいた逢坂くんが、テレビに繋ぎっぱなしのゲーム機を見つけて、私に声をかけた。

「うん。久しぶりにやってみたの。北城くんと世界史の話で盛り上がったとき『お前の好きそうなゲームあるから貸してやる』って言ってくれて」

「へぇ…テレビゲームで釣って君に近付こうなんて姑息だね…」

「え? 何か言った?」

私はお皿を洗いながら、水音に混じる彼の声に耳を澄ませる。

「ううん。僕もこのゲームやってみていい?」

振り返った私に、彼がニッコリ微笑む。

「いいよ」

私もニッコリ笑って答える。


/ 98ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp