第12章 告る
お風呂に入った後、キャミとパンツだけで部屋の中をうろうろする。
雑誌読んだり、スマホ見たり、明日の教科書の準備したり。
ベッドの上で、意味なく寝転んでみたり。
ここに彼はいなくても、きっと見ててくれるから、彼が。
パジャマを着てベッドに入る。
クマちゃんをぎゅうっと抱きしめる。
「逢坂くん…おやすみ…」
私はクマちゃんのお腹に向かってつぶやく。
この声、逢坂くんに届きますように。
夜が明けて、朝になったら、彼が私を迎えに来てくれる。
私が彼の姿を見れないのは、ほんの数時間。
でもその間だって、私は一人じゃない。
逢坂くんは私の姿を見て、声を聞いて、見守ってくれてるんでしょ?
だから私は一人じゃない。
ゆっくり眠れるの。
「おやすみなさい…逢坂くん…」
私はもう一度クマちゃんに挨拶する。
聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声でささやく。
「離さないよ」
…
fin