第2章 覚める
数時間後…
私はベッドの前に座り込み、突っ伏して、いつの間にかウトウトしていたようだ。
「ん…ううん…」
うめき声が聞こえる。
逢坂くんの声。
私はパッと頭を上げる。
彼は目を閉じたまま、首を動かす。
目を覚ますだろうか。
私はじっと眺める。
唇をむにゃむにゃしてる。
可愛い…。
私の頬が少しゆるむ。
彼のまぶたが小さくまばたきをする。
あっ…
彼はゆっくりと目を開いた。
しばらくそのままぼんやりとしている。
私は引き続き、その様子をじっと見守る。
彼は、ふっ…と少し微笑んだ。
私の顔を認識したらしい。
「よく寝た…。今、何時かな…」
そう言いながら、彼は寝返りをうとうとする。
カシャカシャ…
金属がこすれ合う音。
「えっ?」
身体をモゾモゾと動かし、彼が驚いた顔をする。
後ろ手にかけられた手錠と、縛られた足に気付いたらしい。
本格的に私の頬がゆるむ。
「柏原さん…? これ…何の冗談…?」
彼が笑顔で私の顔を見上げる。
でも困惑の色は隠せない。
「ふふ…ふふふ…。逢坂くん。今夜は帰さないよ」