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境界の先

第10章 甘える


昼休み、眠いから机で少し寝たけど、まだ眠い…というか身体が疲れてる…。

5時間目、体育か。だるいなぁ。

「サキちゃん、次体育だよ。そろそろ移動したほうが…顔色悪いよ? 大丈夫?」

茜ちゃんが私に声をかけてくれた。

「え? 私、顔色悪い?」

「うん…。保健室に行ったほうがいいんじゃない? 私、連れていってあげる」

「あ…ありがとう…」



茜ちゃんが保健室まで連れてきてくれた。

茜ちゃんって本当に優しくて親切で…いい子。
逢坂くんが好きになるのもわかる。

それに比べて私なんて…。



保健室のベッドで眠る。

遠くから聞こえてくる体育の先生の吹く笛の音。
音楽室のピアノ。
合唱の声。

気持ちいい。

……



「……ん」

寝返りをうったときに、視界の端に誰かいるのに気がつく。

もう一度、目を開けてそっちを見る。

「あっ、逢坂くん…」

ベッドサイドの椅子に逢坂くんが座ってた。

「授業は?」

彼に尋ねる。

「もう6時間目まで終わったよ。ゆっくり眠れたかい?」

「そうなんだ。私、そんなに寝てたんだ」

「茜ちゃんからカバンを預かってきたよ。帰ろうか」

「うん…」

茜ちゃん、逢坂くんに伝えてくれたんだ。

保健室の若桜先生にお礼を言って、私たちは帰る。

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