第9章 来る
逢坂くんは毎日のように夕食を食べに来て、3日に1回ぐらい泊まってくれた。
彼がベッドにいると本当に、私はゆっくり眠れた。
彼は私が薬がないと眠れないなんて信じられないかもしれない。
…
「気持ちいい…あったかい…」
私はベッドの中で彼に抱きつく。
ぎゅー…
「あっ…」
脚を絡ませようとしたら、私の太ももに固いものが…多分彼の固くなったあれが当たっちゃって、思わず脚を引っ込める。
「当たっちゃった? ふふ…ごめんね」
照れくさそうに笑いながら、彼は私の太ももをなでなでする。
「ふふ…逢坂くん…したい?」
私は彼の顔を見上げる。
「それは…まあ…ね」
そう答えて…照れ隠しかな?
彼は私の唇にチュッとキスする。
「しよっか」
私は笑顔で彼の顔を見つめる。
「ん…サキは…したいの?」
「逢坂くんがしたいなら…私いいよ」
笑顔のままの私の顔を、彼はしばらく真面目な顔で見つめる。
「……?」
「僕はサキがどうしたいのか知りたいんだ」
「わたし…?」
改めて考えてみる。
「私には…自分がどうしたいかなんてない…」
私は答える。
「そんなことないよ。よく考えて。君が僕に薬を飲ませて縛った日、君は僕と一緒にいたいからあんなことをやったんだろう?」
「うん…」
「今日はどうしたい?」
「今日は…今日も朝まで一緒にいたい。でも…もう眠いから眠りたい…」
「うん、わかった」
彼が私の頭をなでなでする。
私の目から涙がこぼれる。
「やっぱり寝ちゃダメ…。このまま泣きながら寝たら目が腫れちゃう…」
「別に目が腫れたっていいだろ」
「やだ…可愛くない。朝起きたら逢坂くんいるのに」
「可愛くなくても一緒にいてあげるよ」
「うえーん…」
「よしよし…」
…