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境界の先

第9章 来る


休み時間。

E組の教室に逢坂くんの様子をうかがいに行く。

逢坂くん…自分の席で本を読んでる…。
知的な感じで…なんだか素敵…。

廊下から、思わず少し見惚れる。

…っていうか
用事があったんだ。

こっち見てくれないかな、逢坂くん。
よその教室に入るのはちょっと恥ずかしいな…。

「サキちゃん、どうしたのー? 俺に用事?」

E組のチャラい男子に声をかけられる。
誰だっけ?

「あ、私、逢坂くんに話があって…。呼んでもらえるとありがたいんだけど」

「えー? 逢坂となんか話さないで、俺と話そうよ!」

チャラい男子が食いついてくる。
困ったな…。誰だっけ?

「ねぇねぇ…」

「ははは…」

とりあえず適当に愛想笑いする。

「サキ」

後ろから、逢坂くんの声。

振り返ると怖い顔で逢坂くんが立ってた。

「…じゃあね、サキちゃん」

少し気まずそうにチャラい男子は手を振って去った。

「はは…あの人誰だっけ?」

逢坂くんに聞いてみる。

「君はそんなことを聞くために、ここに来たのか?」

引き続き怖い顔で、逢坂くんが質問を返す。

「あっ、違う! 逢坂くんに話があって…いい話だよ」

私はニッコリ笑う。
彼は笑わない。

「話なんて…LINEで送ればいいだろ。意味なくウロチョロするから変なのに目をつけられるんだ」

「あっ…ごめんなさい…」

それにあんまり学校で話しかけないほうがいいかもね。
茜ちゃんにも誤解されかかったし。

「じゃ…LINEで送るね」

私は自分の教室に戻ろうとする。

「ちょっと!」

彼が腕をつかんで引きとめる。

「君は本当にバカだな。ここまで来たんだから話せばいいだろ」

あきれた様子で彼が言う。

「あっ…うん…」

私は頷く。

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