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境界の先

第9章 来る


翌朝。月曜。

学校…行くのめんどくさい…。

でも行かなきゃ。

「絶対来いよ」
って彼に言われたから。

行かないと、また心配されちゃうもんね。

学校に行く支度を整え、仕上げにリップを塗っているとインターホンが鳴った。

マンションの玄関ホールのインターホン。
モニターに逢坂くんが写ってる。

「…逢坂くん」

「おはよう。迎えに来た。開けて」

私はオートロック解除のボタンを押す。



家の玄関を開ける。

「ちゃんと学校へ行く準備をしてたんだ。えらいな」

制服姿の私を見て、彼が褒めてくれる。

「うん。約束したから…」

褒めてもらえてうれしい私は、なんだか身体が熱くなる。

「ご褒美あげる」

「あっ…」

彼が私の腰を抱き寄せる。

そして唇にキスする。

舌がすぐ入ってくる。

熱くて柔らかくて濡れてて…
気持ちいい舌が。

朝なのに、まだ夢を見てるみたい。

その感触に私はウットリする。

そっと唇が離れる。

「さあ、行こうか」

彼が微笑む。

あっ…。

「逢坂くん、ごめん。私、リップ塗りたてだったから、唇の端に色付いちゃった」

私はティッシュを出して、彼の唇を拭く。

「え…。ていうか、どうして学校へ行くのに化粧なんかしてるんだ。そんなふうだから、変な男に目をつけられるんだって言ったろ?」

ティッシュを取り上げて、彼は私の唇をゴシゴシこする。

「よし、取れた。行くよ」

「待って。透明リップ塗ってくる」

「そんなの塗らなくていいっ」

彼は私の手を引っ張る。

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