第8章 撮る
朝、目が覚める。
ベッドに逢坂くんがいる。
寝顔を眺める。
あの夜もたっぷりと寝顔を眺めたけど…
今朝の寝顔は格別!
逢坂くんが自分の意思で泊まってくれたんだもん。
私の作ったご飯を食べて。
あ! 朝食、準備しよっと!
私はそっとベッドを抜け出す。
…
ホットケーキを焼こう。
粉と卵と牛乳と…。
キッチンで鼻歌を歌う。
ガチャ…
扉の開く音。
あ、逢坂くん起きた。
振り返ろうとしたとき…
ぎゅ…
背中から抱きしめられた。
「死んだかと思った…」
彼がつぶやく。
「あ…」
私は忘れてた。
どうして彼が家に泊まってくれたかってこと。
浮かれてて…。
「ごめんなさい…」
私は謝る。
「心配するだろ。黙って出て行ったら」
彼が私の頭を軽くなでなでする。