第7章 食べる
逢坂くんと外に出る。
なんか少し恥ずかしい。
彼が私の手を握る。
「えっ…」
彼の横顔を見上げる。
彼は普通の顔で歩いてる。
私も普通の顔で歩くことにする。
でも…
「あ、あのっ…逢坂くん…」
私は彼に呼びかける。
「うん?」
彼が歩きながら、私を見る。
「私、早く歩けない…。あの…あの…足、痛くて…」
足というか…さっきいれたとこに響くの歩くと…。
自分の顔が熱くなるのを感じる。
「足…? ん…あぁ…。これぐらい?」
彼が歩く速度をゆるめてくれる。
「うん…ありがとう…」
私はうつむいたまま返事する。
…
近所のファミレスで食事する。
「ごめんね、逢坂くん。お腹空いてないのに食事に付き合わせちゃって」
「別に。パスタ一人前ぐらいならいつでも食べられる」
「へぇー」
細く見えるけど男の子なんだな…。
そういえば、服を脱いだ彼の身体…。力も強くて…。
浮かんできちゃう恥ずかしい記憶を一生懸命払う。
「それよりサキちゃんは空腹だったろうに、そんなドリアだけで大丈夫なの?」
「うんっ。私、このドリア大好きなの」
「へぇ。じゃあ、お父さんが出張中とかよく食べにくるのかい?」
「ふふ…。お父さんと同じこと言うね。女子高生が一人でファミレス行くわけないじゃん」
私はちょっと笑っちゃう。
「そういうものなの? なら、何を食べているんだい?」
「ん…コンビニで買ったり…。たまに作ることもあるけど、やっぱ一人だとあんまり作る気がしなくて」
「そっか」