第7章 食べる
「……」
ベッドの上で寝転んだまま、ただぼんやりする。
「大丈夫? 服着られるかな?」
自分の服を着終わった彼が私に声をかける。
「あ…大丈夫…多分」
「ちょっと出掛けよう。買い物したいんだ」
「うん…」
私は身体にベッドカバーを巻いて、クロゼットから新しい下着と服を出して着替える。
「別にそんなことしなくても。全部見たのに」
彼が笑う。
「う、うん…」
そうなんだけど…。
「買い物って…何買うの?」
着替え終わって質問してみる。
「いい物だよ。ていうか、いいね。そのワンピース。清楚で。処女に見えるよ」
「あ…ありがとう…?」
私は褒められた?お礼を言う。
出掛ける準備をしてリビングを通ったとき、自分のお腹が空いていることを思い出した。
「そういえば逢坂くん…お腹空いてない?」
「お腹? 別に。家に帰ったとき食べたし。あぁ…君はずっと食べてないんだね。出るついでに何か食べようか」
「うんっ。近くにファミレスあるからそこで食べよう。私、払うから」
「え、別にいいよ。ファミレス代ぐらい…」
「大丈夫! 私、父に食費もらってるから」
私は引き出しから食費の封筒を出し、そこから一万円札を一枚引き出してからしまう。
その様子を見ていた彼が驚いて尋ねる。
「ちょっと待って…それ…札束入ってる…?」
「うん? 30万だよ? 一ヶ月分だから」
私は答える。
「いや…多いだろ…」
彼があきれる。
「確かに毎回余るね。でも足りないよりいいだろって言って置いていくの。そのほうが安心なんじゃないかな」
「ふぅん」
なんとなく彼が頷く。