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境界の先

第6章 泣く


全部を脱いだ彼が布団に潜り込んでくる。

目のやり場に困って、とりあえず反対向きに寝返りをうち、目を伏せる。

「あ、あの…逢坂くん」

うつむいたまま、彼に呼びかける。

「うん?」

「逃げないから…私、逃げないから…手錠外して」

「ふふ、嫌だ」

楽しそうに彼は笑う。

「ファーストキスの嫌な思い出を、僕が塗りかえてあげるよ。初体験は手錠をはめられたままバックで突かれたってね」

横向きに寝た私の身体を、背中から抱きしめて彼がささやく。

「や…やだっ…」

彼の手が私の胸をむにむにと揉む。

「んっ…ん…あっ……」

私の中で、自分の置かれた状況を嘆く気持ちと、その柔らかい刺激にふわふわする気持ちが混在して、どっちつかずの声が漏れる。

「気持ちいい?」

彼が後ろから問いかける。
私は答えられなくてうつむく。

「ねぇ」

彼の指は私の乳首をぷにぷにいじる。

「あっ……んっ……」

乳首の刺激が身体の奥にきゅうっと届く。
背中に彼の生の肌が触れる感覚も下半身に響く。

「はぁ…はぁ…」

熱い息が漏れる。

「気持ちいい?」

彼がもう一度尋ねる。

「うん…」

私は小さく頷く。

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