第6章 泣く
…
ガチャ
玄関の音。
ぼんやりしてた頭が覚醒する。
逢坂くんが帰ってきた。
廊下を歩く足音。
私は部屋の扉に目をこらす。
扉が開く。
逢坂くんだ…。
「逢坂くん…」
「ただいま」
私服姿の逢坂くんがニッコリと微笑む。
ホッとして少し涙が出てきた。
「ちゃんとおとなしくしてたんだね。よしよし」
「う…ぐすっ…」
彼が私の髪を撫でてくれる。
嬉しくて涙が出てくる。
「僕がいなくて寂しかった?」
私は彼の顔を見上げて頷く。
彼はベッドに腰掛ける。
持ってきたバッグの中から、何か小さい箱を出す。
その中身は薬局でもらう粉薬みたいに繋がってて、ピリピリって一個を切り取る。
そして彼はそれを枕元にピッと投げる。
私は首を上げてそれを見上げる。
……?
彼は洋服を脱ぎ始める。
私はなんとなく、彼が枕元に投げたものと服を脱ぐ彼を、交互に見る。
それに気付いた彼が、私に尋ねる。
「サキちゃん、それが何かわかる?」
「…わからない」
私は返事する。
「コンドームだよ」
「……」
sex…するんだ…。
逢坂くんと。
そんなことしたかったわけじゃないけど…
逢坂くんがしたいなら仕方ないかな…。
痛いかな…。
私は唇をきゅっと結ぶ。
ていうか…