第5章 捕まえる
「ふふ、なかなか良い写真が撮れたよ。ほら」
画面にその写真を表示したスマホを、彼は私に見せつける。
私は顔をそらす。
「さて…」
彼はズボンのベルトを緩め、シャツの裾をしまい直し、乱れた制服を整える。
そして私の学校のカバンを探る。
「君のスマホ」
私のスマホを取り出し、私の顔を見て微笑む。
「君もパスワードを設定しているじゃないか」
「……」
彼が私のスマホを操作する。
「解除成功」
ロックを解除した画面を見せびらかして、彼はニッコリ笑う。
パスワードは逢坂くんの誕生日。
「まぁ、これは後でゆっくり見よう」
そう言って彼はそれを自分のポケットにしまう。
そしてまた私のカバンを探る。
「これが家の鍵かな?」
私の家の鍵を取り出して、彼が尋ねる。
「うん…」
私は頷く。
「ちょっと僕、一度家に帰って着替えてくるよ。無断外泊の言い訳もしないといけないしね」
「これ…」
カチャカチャ…
私は手を動かして手錠をアピールする。
「僕がいない間に勝手に死なれると困るからね。そこでおとなしく寝てな」
裸の私に彼が掛け布団をかける。