第5章 捕まえる
「やめてっ…」
小さい声しか出なかったけど、私の声は彼に届いたはず。
でも彼は無視して、舌先で乳首に触れた。
「ふぁっ…」
私の口からなんだか情けない声が漏れる。
彼の唇が、私の乳首をくわえる。
「んっ…!」
私の身体がこわばる。
ちゅ
音を立てて、彼はそこをチュパチュパする。
胸の奥がなんだかきゅっとする。
私はぎゅっと目をつむって、その感覚に耐える。
「うぁっ…んっ…あっ…んあっ…はぁっ…」
涙がじんわり出てくる。
そこから唇を離して、彼は私の顔を覗き込む。
私はとてもじゃないけど、彼の顔は見られない。
胸がヒックヒックしてる。
「泣いていたの? 喘ぎ声をあげているんだと思った」
私の顎をクイッと持ち上げて、彼が言う。
「……」
「気持ちよくない?」
耳のすぐそばに彼の唇が来る。
彼の息と声が耳に当たる。
私の身体がまたビクッとなる。
「ここが気持ちいいの…?」
耳元で彼がささやく。
「ちがっ…あっ!」
熱い感触。
耳に直接唇の音。
ゆっくりと彼の舌が這う。
「わ…ああっ…あんっ…はぁっ…あんっ…」
胸には彼の手が置かれ、むにむにと動く。
「ん…ん…あ…はぁ…ん…」
私は唇をきゅっとつむる。
「声、出していいんだよ」
耳元で彼の声がする。