第5章 捕まえる
「あの……んっ……!」
口を開いた隙に舌を差し込まれた。
……。
観念して少し口を開く。
「んっ…うぅっ…」
舌がグッと奥まで入り込む。
ん…苦しい…。
口の中が、彼の舌でいっぱいになる。
頭の中がぐるぐるする。
よくわからない。息が苦しい。
やっぱりこんなの誰とやっても同じ。
たとえ逢坂くんとでも…。
唇が離れる。
「こんな感じ?」
彼が私に問いかける。
答えられなくてうつむく。
「ねぇ」
「……」
「舌、出してみて?」
彼が私の目を覗き込む。
「出して」
私は少し舌を出す。
「んっ……」
彼の唇が私の舌先を包む。
私の身体がビクッと震える。
自分の手をなんとなく握る。
彼の唇がちゅうっと私の舌を吸う。
そしてベロベロと舐めまわす。
唇が離れる。
まだすごく近いけど。
「気持ちいいの?」
彼が問いかける。
思わず目をそらす。
「ねぇ」
彼の指が頬に触れる。
彼の目を見る。
「僕にもやって」
彼が舌を差し出す。
「……」
唇で彼の舌を挟んでみる。
「……」
彼の目を改めて見上げる。
彼と目があう。
「……」
そのまま唇をすぼめて、ちゅっと吸ってみる。
彼がちょっと目をつむる。
私もさっきされたみたいに彼の舌をそっと舐めてみる。
彼がバッと唇を離す。
びっくりしてちょっとビクッとなる。
「気持ちいい…」
彼がつぶやく。