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境界の先

第5章 捕まえる


ガシッ

「えっ?」

背中に…何か温かい感触…。

前に…手…?

お腹と胸元を抑える手を見下ろす。

「え…? 逢坂くん?」

私は振り返る。

背中から私を抱きしめた彼が、私の顔を覗き込む。

そして、フッと微笑む。

前に逃げようとする私をグッと引き寄せる。

「きゃっ…」

ドサッ

私の身体はグイッと倒されて、ベッドに落ちる。

ゴロッ

うつぶせの身体が仰向けに転がされる。

重い…

身体の上に…逢坂くんの身体が乗っかって…すぐ目の前に、彼の顔。

「……っ」

思わず息を飲む。

さらに顔が近付く。

身体がすくむ。
ぎゅっと目をつむる。

唇と唇が触れた。

……。

キスしたんだ…。

あっ……。

舌が…

彼の舌が、私の唇のすき間をなぞる。

私は唇もぎゅっとつむる。

彼の手が、私の顎をクイッと押し上げる。

唇が少し離れる。

「口開けて」

彼の声が聞こえる。
冷たい声。

私は目を開ける。

冷たい目で、彼が私を見下ろす。

私は小さく首を横に振る。

「元カレとネットで知り合った男にやらせたんだから、僕にやらせてくれてもいいだろ」

彼が言い放つ。

自分の目に、涙が少しにじむのを感じる。

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