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境界の先

第4章 眠る


「サキちゃん、眠いのかい?」

「ん…? ううん…大丈夫…」

ベッドにもたれてウトウトしていたらしい。

逢坂くんに声をかけられた。

「君もベッドで寝たら? 僕が邪魔なら床に落としてくれていい。君のベッドだ」

「縛った上に床に寝かせたら、あまりにもかわいそうでしょ」

「やっぱり優しいんだな。君は」

「ふふっ、優しい子がこんなことしないよ」

「ふふ、それもそうだね。じゃあ、僕の隣で寝なよ。
目の下にクマが出来たりしたら、せっかくの可愛い顔が台無しだろ?」

「死体の顔なんて誰も気にしないよ」

「人生最後の日を可愛く過ごすために少し休むといいよ」

「ん…」

私はちょっと考える。

確かに…朝までまだ時間はあるし、少し休んでおいたほうがいいかな。

彼の隣で…か。

「うん。寝る」

私はベッドに上がる。
そして彼の背中側に横になる。

「え? そっち?」

首を伸ばして、彼が問いかける。

「うん。だってこっちのが空いてる」

「よいしょっと」

彼が身体をくねらし、反動をつけて身体を反転させる。

私の背中に彼の身体が半分乗っかる。

「ちょっと…! 重い…!」

私はモゾモゾ身体を動かして、彼の身体から離れる。

「動きにくいんだよ。誰かさんのせいで。助けてくれる?」

口をとがらせて、彼が訴えかける。

「そうだったね…。よいしょ…よいしょ…」

私は手で押して、彼の身体をベッドの端のほうに追いやる。
掛け布団を掛け直す。

「はい、おやすみ」

彼に背中を向けて、再び横になる。

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